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 曹操軍の激しい追撃を受けて江陵をあきらめ、向かった漢津口の渡し場で劉備本隊は関羽の率いてきた援軍と合流した。
 父の姿を見つけて喜ぶ間もなく、関平は手当てを受けて腕の状態を知らされた。
 まだ混乱している兵の群れを抜けて、将校としての役割も忘れて関平は人ごみを逃れる。
 川岸に出ると風が強く向かってくる。まるで自分に次々降りかかる試練のようだ。
──なに、腕の一本や二本。
 笑い飛ばそうとして、できなかった。
 絶望にその場に座りこんでしまいたかった。
 関平にとって武とはただ生きる糧ではない。
──戦のために取った息子が戦の役に立たなくなったらどうなる。
 しばらく動かしてはならないという医者の忠告に無性に逆らいたくなって、腕を吊る布をほどく。さすがにまだ痛んだがそんなことに構っている場合ではない。
 布が川風にあおられ、片手では捕らえられず遠く流されたが、追いかける気力もなく呆然と見送った。
──父上。
 いや、もうあの人は自分の父などではない。なくなってしまった。
 もう父とは思えないとこちらから宣言するまでもなく、自分たちの縁はなんともはかないものだったのだ。
 そう思うと恋慕よりもなによりも、父を父と慕う気持ちが今更のようにわき出してきた。


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