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関平の出した液が趙雲の指をぬらした。
だるそうに関平は、のろのろ体を起こす。
それは液体というより粘液に近い濃いもので、指につたわせ、指の間に糸を張らせて関平に見せつけた。
「ため込んでいるね。お父上がさぞ恋しかろう」
関平が羞恥にいたたまれなくなっているだろうと見やると、案外平然としている。
──嫌に反応が鈍いな。なにも知らぬということなのか?
大体、そう親しい間柄でもない自分が寝所に誘い酒を飲ませ互いに裸にまでなったというのに、ここまでろくろく抵抗がないのも不自然だ。
駆け引きらしきもの、もしくは、泣いて嫌がる者をどうなだめどう従わせるかの過程を見込んでいた趙雲は少々拍子抜けしたが、これはこれでまたよろしかろうと考えた。
父への精神愛に殉じようとしている青年に肉の喜びを教え込んで骨抜きにしてやろうというのだ。無知ならそれで好都合だ。
ところが、そんな趙雲を逆に品定めするように上から下へ眺め見ていた関平はやおら趙雲にいざり寄ると、股間に顔を埋めた。
竿を持ち支えると、突き出した舌で裏筋を根元からなめ上げる。袋を揉みながら、堅くしたその舌先でそのまま鈴口までたどり、躊躇なく喉の奥までくわえた。
趙雲は驚きに声も出なかった。
しかしゆっくり驚いている暇もない。うまいのだ。大層うまい。これは素人の手管ではない。いくらもこらえられそうにない。
頬の内側と上あごで巧みにしごかれ趙雲がほどなく射精すると、関平はこともなげにそれを飲み下した。
口角についた白いしずくをこれ見よがしに舌を出してなめ取ってから手の甲で拭う。
「苦い…。味も匂いも、人によって違うものですな」
ほうける趙雲を、関平は平然として見た。
「驚かれることはございませぬ。父は男を喜ばせるすべを拙者にみっちり叩きこみました」
「では、君はお父上とすでに」
関平は憂鬱そうに首を振った。
「父は拙者の体が熟れる時期を見計らっておりました。拙者もその時を待ち望んでおりましたが──」
その先は口にしなかった。
「趙雲殿、実の所拙者は適当な相手を探していたのです。甘えさせてただけるのであらば、今だけ父の代わりを。拙者に本懐を遂げさせて下され」
関平はほどけ落ちている鉢巻を二重に巻いて目隠しとし、こま結びすると仰向けに横たわり、趙雲を手招きした。
「これでなにも見えませぬ。この先は拙者知りませぬゆえ、初めてでございますれば誰とも違いも分かりませぬ。今だけどうか。父の弔い合戦に果てようにも、このままでは死んでも死に切れませぬ」
手の平にある獲物のつもりだった相手にすっかり主導権を奪われて趙雲は毒気を抜かれていた。
「さ、どうか」
関平は手探りで趙雲を探り当て、その男根を自分の入り口に導いた。
「無理だ。慣らさねば」
ようやく我に返って趙雲は言うが、
「必要ございませぬ」
腰を関平の太股にはさみこまれて先が嫌応なくそこに触れると、そこはすでに適度に緩んで男を待っていた。そして誘い込むように蠕動し、趙雲を緩やかに導き入れた。
「う…ん……」
──これが初めてなものか。
受け入れることに明らかに慣れ親しんでいるそこは大いに喜んで締め上げている。
「はあ…」
「どういうことだ。君は、」
「生身のものを入れるのが初めてなだけです。無論下も仕込まれてございました。──もう声を聞かせないで下され」
口を手の平でふさぐ。
「あなたは今、関雲長です。拙者の父です」
そのまま押しやり趙雲に体を起こさせる。なるほど、抱き締めては違和感もあろう。
「ああ、いい。あ、熱い! あああ…!」
関平は枕や寝具をつかみ、体をよじらせてその彼の言うところの生身の悦楽を満喫した。
「熱い。こんなに熱いものなのですね。それに、ああ、硬い。いえ、柔らかい」
声をふさがないよう教育されているのだろう関平は、感じるままをそのまま口にのぼらせた。
「ああ、父上、父上え! んん…っ!」
まぶたのうちに、今明らかに彼は待ちわびた父との交合を描いているのだろう。体の喜びようが先ほどとは格段の違いだった。
それにしてもこれはなんともよく教育されていることだ。手間と歳月を惜しみなくつぎ込んで、きたる時のために、ただ一人のために練られてきたのだろうに。
──惜しいことだ。
取り残されている場合ではない、堪能しなくては損だと、趙雲の方でも関平の腰骨あたりをつかんで大きく力任せに動いた。
かの人ならそうするだろう。関平に夢を見させてやろう。
相手を思いやったりすることは似合わない傲慢な人だ。そしてそれが許される人だった。
「うっ、うう。いいです、父上、とても」
できることならこの息子の淫蕩をそれらしくなじってやりたかった。きっとそうするのだろうに。
声を禁じられているのが残念だ。
「あっ、はあ。はあ、はあ…。ん…っ、いっ、いくっ、ああっ」
ほどなく関平は絶頂を向かえ、精液をだくだくと腹の上にまき散らした。
「ふう」
関平は鉢巻を押し上げてはぎとり、体を投げ出して余韻を満喫した。
うっとり虚空を見、また目を閉じて先ほどの暗闇を再現し、快楽を反芻する。
愛する人と体を一つにする喜びを、幻の中でとはいえ知った彼は顔つきまで先程と変わったようだ。見るべきほどのものは見つと、そんな顔だ。
しかし本来奉仕専従の関平は、自分の楽しみはそのくらいにして目の前の相手に意識を戻した。
「これは、一人で楽しんでしまい失礼いたしました。こらえ性がないとは父にもよく叱られたものですが結局改まらずじまいでした。埋め合わせは今から、趙雲殿のお気の済むまでいくらでもいたします」
色を帯びた目で見上げてくる。そして今度は趙雲の体を引き倒して首筋に腕を回し、深く舌をからめ合わせながら腰を波打たせ始めた。
「これは…。参ったよ」
その心中を読んで、関平は体を揺するのは中断しないまま趙雲に話しかける。
「残念ながら、この道で趙雲殿に改めて教えていただくことは拙者にはないようです」
まったく大誤算だ。よい方向に当てが外れた。
「いや、思いがけずもうけものをしたものだ。しかしこの間柄をどう呼んだものかな」
あけすけに言えば関平を調教してやるつもりだったのだが、それよりよほど面白いことになったようだ。
「セックス・フレンドということで。そのあたりが妥当でございましょう」
「そのようだね」
合意に至って、二人は続きを始めた。
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